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40代、50代。キャリアを長年積み重ね、リーダーとしての責任ある立場や、個人クリエイターとしての円熟味が増してくるこの時期。人生の充実期ともいえる一方で、多くの働く女性が直面するのが「更年期」による心身の大きな変化です。
急に顔が熱くなるホットフラッシュや滝のような汗、理由のないイライラや焦燥感、そして鉛のように重く、思うように動かない身体……。「これまでは気力で乗り切れたのに、なぜか頑張りがきかない」というもどかしさや、キャリアへの不安を感じることもあるかもしれません。
しかし、東洋医学の視点で見れば、更年期は決してマイナスな「衰え」の期間ではなく、人生の後半戦をより自分らしく、豊かに生きるための大切な「調整期」と言われています。
中医学では、女性の身体の変化は「7の倍数」のサイクルで訪れると考えられています。49歳前後で訪れる更年期の不調は、主に以下のようなバランスの変化から起こる可能性があるようです。
加齢に伴い、成長や発育・生殖を司る「腎」のエネルギー(腎気)が減少することに主な原因があると考えられています。腎は、生命力の源が貯蔵されている「心身のバッテリー」のような場所。ここが揺らぐことで、自律神経の乱れや骨・耳・足腰など、全身のバランスに影響が及ぶこともあると言われています。
中医学には「女性は血を以て本(もと)となす」という言葉があります。女性の身体は一生を通じて「血」の状態と密接に関わっていますが、更年期はこの血の量が減少したり、巡りが滞る「お血(おけつ)」の状態になりやすいタイミングかもしれません。血が不足することで、血に宿るとされる「神(しん:精神)」が居場所を失い、そわそわとした不安感や不眠を引き起こす要因となることもあるようです。
ホットフラッシュなどは、身体の中の潤い成分(陰)が不足して、相対的に熱のエネルギー(陽)が制御を失い、上部へ昇ってしまう状態かもしれません。これは、長年の「がんばりすぎ」によって身体の冷却水が枯れ、エンジンがオーバーヒートしているという、身体からの切実なSOSの可能性もあります。このメカニズムを知ると、「単に冷やす」ことよりも「潤いを補って熱を鎮める」ことの重要性が見えてきます。
更年期のケアにおいて中医学が大切にするのは、「足りないものを補い、滞っているものを巡らせる」というシンプルなバランス調整です。
中医学の五行説では、黒い色は「腎」に対応しています。
仕事のプレッシャーでイライラしたり、憂鬱な気分に沈んだりするときは、気が滞っている「気滞(きたい)」の状態かもしれません。
23時から午前3時までの時間は、中医学において「血」を浄化し、新しく作り出すためのゴールデンタイムと考えられています。
更年期の身体は、激しい運動をかえって「過剰な熱」や「気の消耗」と捉えてしまうことがあります。この時期のキーワードは、あくまで「心地よさ」と「グラウンディング(地に足をつけること)」です。
1日に数回、下腹部にある「丹田」に新鮮な空気を送り込み、身体の中の古い気をすべて吐き出すイメージで深呼吸しましょう。深い呼吸は、高ぶった「火」のエネルギーを足元へと引き降ろし、自律神経を整えてくれる手助けになるかもしれません。急な動悸やパニックのような不安に襲われたときも、この呼吸があなたを守る「見えないお守り」になってくれるはずです。
じんわりと額に汗をかく程度の散歩は、全身の血行を促し、停滞しがちな感情の巡りもスムーズにしてくれると言われています。
「今の体調はどうかな? 肩に力が入っていないかな?」と、自分の身体を優しくスキャンするように観察します。思うように動けない自分を「怠慢だ」と責めるのではなく、「これまで何十年も頑張り続けてきたのだから、今は次のステージへ進むための点検中なんだね」と、自分自身に寄り添う時間を持つことが、ウェルビーイングへの確かな第一歩となるでしょう。
更年期の症状は、その日の天候や気圧、前日の仕事量によっても大きく変動するようです。個人差も非常に大きいため、従来の「毎日同じパフォーマンスを出し続ける」という固定された働き方に自分を無理やり当てはめようとすると、心身はますます悲鳴を上げてしまうかもしれません。
更年期という時期は、あなたが「誰かの期待に応えるための自分」から、「自分のために生きる自分」へと人生の舵を切るための、身体からの力強い招待状かもしれません。
中医学の知恵を取り入れ、自分の身体を慈しむようにケアすることで、このトンネルを抜けた先には、これまで以上に強くてしなやかな、新しい自分の姿が待っているはずです。
どうか無理をせず、自分のペースを大切にしてください。あなたが心地よく、自分らしく輝ける場所は、必ず見つかります。まずは今日、温かい黒豆茶やハーブティーを一杯、ゆっくりと味わいながら、自分の呼吸に耳を澄ませてみることから始めてみてくださいね。
※不安なかたは、お近くの専門家や医療機関などから直接指導をうけてください。
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